EVの普及に消極的であった日本が、低炭素社会の実現に向けてEV化に大きく舵を切った。今までEVというジャンルの仲間入りを避けてきたハイブリッド車も電動車などと言い出している。日産の℮パワーに代表されるシリーズハイブリッドは間違いなく電動車である。ICE(内燃機関)は発電用であり、駆動系には直接利用されない仕組みである。100%EV化というEVの範疇をどこまで拡げているのかは曖昧であり、マイルドハイブリッドまで含めることになれば、ハードルは一気に下がる。

 EVの範疇はさておいて、100%化が必要なのかについては大いに疑問が沸いてきます。デジタル社会になって0か100かという取り組みや言及が非常に目立つ様になり、色々なところで摩擦を生む原因になっているのではないでしょうか?印鑑は全廃する必要もないしFAXも残してもいいと思います。合理性は追及すべきですが、合理性だけでは片づけられない事項もたくさん存在します。多様性を認めようという中で、一方では何かに統一してしまおうという議論や取り組み、バッシング等には大きな矛盾を感じているのは私だけではないと思います。

 EVに関する話に戻しましょう。低炭素社会の実現のための一つの取り組みが自動車のEV化です。目標としているのは低炭素社会の実現であり、ゼロを目指している訳ではありません。我々自身が生きてい行くために呼吸をするとCOを排出します。逆に植物は太陽の光を浴びて、CO2を吸収して育って行きます。何を言いたいかというとバランスが重要であるということです。

 化石燃料は主に植物由来で、数千万年とも数億年ともいわれる長い期間を掛けて地熱や岩石等の圧力で合成されたものであり、人工物ではなく天然資源です。ウランも元は地球が作った鉱石であり、これらも広い意味で自然エネルギーです。最近はこれらのエネルギー源と区別するため、太陽や風のエネルギーを再生可能(Renewable)エネルギーという呼び方をしています。

 何千万年も掛けて化石燃料として固定化された炭素をわずか数百年で使って拡散しているため、バランスが崩れてしまっているのが今の問題だと思います。森林の伐採等で植物が減少し、CO2の吸収能力が減少している反面で排出量が大幅に伸びているのが現状の課題です。温暖化問題が加速されないレベルまでバランスを戻すことが重要で、EV化率を100%にすることが目的ではありません。

 ICEのメリットが活かせる(逆の言い方をするとEVが不得意とする分野)ところや、EVでは感じられない感性を求める人たちのために、継続してICEを生産・販売すればいいと思います。EVに慣れると今まで以上に使い易い分野も多くあると思います。9年近くEVを利用した実感です。全体として環境に十分に配慮しながら、ユーザの選択肢(決して売る側や作る側の都合であってはならない)を絶やさないということがこれらからの社会に求められることではないでしょうか。

 無責任ではありますが、バランスの取れた比率が50:50なのか80:20なのかという具体的な数値は現時点で持ち合わせておりません。 全くの余談ですが、植物は燃やさなくても腐敗する際にCO2を発生させます。