先日の東北沖の地震で火力発電が一部停止し、電力がひっ迫しているとのことで、節電の呼び掛けが始まっています。
二酸化炭素の排出削減が叫ばれる今、緊急事態宣言で我慢を強いるという取り組みより普段から無駄な消費を抑える取り組みをもっと積極的に推進すべきではなかったのかと感じるのは私だけではないと思います。現代の家電製品の多くは使用時以外にも待機電力という消費があります。代表的なものはテレビです。リモコンの受信やスイッチONと同時に映るように常に電気を消費しています。スマートフォンの充電器等も充電していなくてもコンセントにつながっている状態では電力を消費しています。瞬間的に見れば大した電力ではありませんが、連続的に消費しています。色々な調査があり、どれが正しいのかは把握できておりませんが、一説には世帯当たり平均400~500Wh/日の待機電力が消費されているとも言われています。ゼロにすることはできませんが、2~3割削減するだけでも全国で5GWh/日レベルの電力量が削減できる計算です。細かな部分の誤差があったとしても決して小さな数字ではないことが判ると思います。
一方、今朝のニュースに気になったのが「揚水発電」です。蓄電池の様なものだと例えるキャスターもおりましたが、時代でしょうか?元々、第一次オイルショックの後、原子力発電が大幅に増加し、出力調整が容易でないため夜間に余剰電力が出るようになってきました。その対策として生まれた施策の一つが深夜電力の割引です。火力発電であれば出力調整は比較的簡単なので深夜割引は本来の意味を持ちません。「揚水発電」は捨ててしまわれる余剰電力の使い道として生まれたもので、効率が悪くても捨てるよりはメリットが大きいということが基本になる発電方法です。今回は夜に出力を落としていた火力発電を通常稼働させて、その電力で揚水したということで、経済的にはロスを生んでおりますが、「非常用」としては意味を持つことになったのです。キャスターは「安い夜間電力を使って揚水する」とコメントしておりましたが、販売するのではないので、夜間でも発電コストはほとんど同じです。また、効率が非常に悪いので、揚水のために使った電力の半分も発電できないと思います。
揚水発電は捨てられてしまう余剰がある場合と今回の様な非常時の利用に限定されるのではないでしょうか?
レドックスフロー電池というシステムも実証実験されていますが、これは都市型の揚水発電と考えることができるのではないでしょうか。