さよならモデルS 第15回 ~廃車後の運命と次の車~

 車検切れまで1ヶ月を切り秒読み状態となってきました。廃車後にこのモデルSがどういう運命を辿るのかについて、現時点ではあくまでも予定ですが、触れてみます。

 まず、今のところ売却でも下取りでもありません。余程のことが無い限りは廃車する方向で考えています。

 自分達の手でどこまでできるかは不明ですが、最大の目的は電池を取り出すことです。車にも興味はありますが、一応、電池屋が生業ですので電池がどの様な状態になっているのかにより関心があります。

 電池の開発時や車載検討時にそれなりの評価は行っている筈ですが、全て想定された条件での加速試験でしかありません。8年で10万kmを実際に走行した後のサンプルは非常に貴重であると考えております。条件さえよければ今でも満充電後は400㎞以上の走行は可能です。現時点で想定している主な評価内容は次の様な項目です。

  ・ モジュール間バラつき(電圧,容量等)
    バラつきと搭載位置の相関関係の有無確認
  ・ モジュール内セル間バラつき(電圧,容量等)
    バラつきと配置の相関関係の有無確認
  ・ 放電負荷・温度特性(代表セル)
  ・ 充電負荷・温度特性(代表セル)
  ・ セルのX線透過観察(振動による影響推定)
  ・ 劣化度合の推定
  ・ その他

 これらの結果データの詳細はここでは公表しませんが、電池の改良やEVの設計に役立つ内容も多いかと思いますので、関心のある方々には有償でご提供する方向です。

 電圧測定以外は全てのセルを評価する訳ではありませんので、詳細分析や独自評価のためのセルの有償提供も考えております。これらの電池の評価につきましては、詳細決定後に改めてHPで案内して行く予定としております。

 残った車体とどうするのかですが、車体は会社内のどこかに展示(屋外かも)したいと考えております。外観に関係のない主要部材は、ご興味のある方に有償でお譲りするかも知れませんし、オークションマーケットに出すかも知れませんが、これは成り行きで考えたいと思っております。

 さて、次の車ですが一度EVに乗るとICE車には戻れません。国産、輸入車を問わず5月時点で既に日本で販売されているというのが条件でした。今回は冒険することはなく、以下の条件を決めて選定を行いました。

   ・ 2020年5月時点で、日本国内で販売されているEV(BEV)
  ・ ミドルサイズであること(フルサイズでないこと)
  ・ 実力300km以上/充電の走行距離(これで実用上は充分)
  ・ 極力低価格であること(普及を考えると重要なポイント)
  ・ できればリースが可能であること(社用車用途)

 モデルSはEV黎明期のベストカーだったと思っています。決して高級ではないが、ハイパフォーマンスで高額でした。EVはのろまであるとか走行距離が短いといったネガティブなイメージは、TESLAの登場によってほぼ払拭されたと思います。

 EVも普及期になりつつあり、手軽に乗れるということを周りの方々にも理解してもらうというのが、今回の目的のひとつです。安いといっても車両価格だけを見ると、まだまだICE車よりは割高に思えますが、5年乗ると想定すると燃料費や他の経費を含めた総額では逆転するレベルになっていると思います。

 ということで、色々と悩んで検討した挙句にモデル3に辿りついてしまいました。当初から注目はしていたものの、どうしてもセンターパネルを含めた運転席周りが機能的にもデザイン的にも好きにはなれないのですが、これは選定基準には入れていないのでこういう結末に至りました。スタンダードレンジプラスをリース予定です。7年間に及ぶEV経験と充電環境がよくなった状況を考えれば、パワー的にも走行距離的にも十分であるとの判断です。残クレの様なローンにすれば、中型HEVと価格的にも遜色ありません。(TESLAから宣伝費を頂いている訳ではありません)

 希望ナンバーは、読者のT氏の予想通り“2170”でリクエストしています。納車はCOVID-19の影響もあり、5月には間に合わないかも知れない状況で、現時点では納車日未定です。

 次回はモデルSのさらなる問題についての内容を予定しています。

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